このページでは中学生向けに、2年生で学習する
- 温暖前線
- 寒冷前線
- 停滞前線
- 閉塞前線
について解説をしていくよ。
- 前線とは何か?
- 4つの前線の特徴
- 4つの前線の違い
を知りたい人はこのページを読めばバッチリだよ!
自己紹介
「さわにい」といいます。元中学理科の教員。
現在は毎月30万人が利用する理科サイトの運営者です。
登録者8.5万の教育YouTuberでもあります。
現在、期間限定で無料学習相談やってます!
では、4つの前線の解説を始めます!
YouTubeで学習したい人は下の動画をどうぞ!
前線とは
まずは「前線とは何か」について解説をしていくよ。
前線とは「寒気・暖気の境界面が地表と接触する線」のことなんだ。
…。どういうこと?
これだけではよくわからないね。詳しく解説をしていくよ。
まずは「暖気」「寒気」という2つの言葉の意味を確認しよう。
ねこ吉。日本は北側と南側。どちらが寒いかわかる?
それは簡単。北側が寒いよ。
そうだね。北側が寒く、南側が暖かいね。
ということは、北側には寒い空気のかたまりができやすいよね。
このような、寒い(冷たい)空気のかたまりのことを「寒気」というんだよ。
反対に、南側には暖かい空気のかたまりができやすいね。
このような暖かい空気のかたまりを「暖気」というんだよ。
これらの言葉は、天気予報でもよく出てくるよね。
大切な用語だから、必ず覚えておこうね!
ポイント
寒気 → 冷たい空気のかたまり
暖気 → 暖かい空気のかたまり
注意
今説明した「寒気」「暖気」のできかたは、ものすごく簡単に説明したものだよ。
実際の寒気や暖気のでき方はもっと複雑だよ。
前線のできかた
寒気と暖気はわかったよ。これが前線とどう関係しているの?
この寒気と暖気は大気中を移動するんだ。そのとき、寒気と暖気はぶつかることがあるんだよ。
寒気と暖気は空気同士だけど、ぶつかると簡単には混ざり合わずに、ぶつかりあうんだ。
この、ぶつかりあったところに、前線ができるんだよ。
ポイント
寒気と暖気がぶつかりあうと、ぶつかりあったところに前線ができる。
前線と前線面の違い
1点注意事項だよ。前線とは「寒気・暖気の境界面が地表と接触する線」のことだったね。
寒気と暖気の境界面は「前線面」というんだ。
そしてこの前線面が、地表と接する線が「前線」なんだね。
この「前線面」と「前線」の違いに注意しよう。
もう一度確認すると、
- 寒気と暖気の境界を「前線面」という
- 前線面と地表が接する線を「前線」という
ということだよ。
例として、「寒冷前線」という前線を見てみよう。
図のAが前線面。Bが前線だね。
この違いはまぎらわしいから注意しようね。
寒気と暖気の境目が前線面。
前線面と地表の線が前線!
続いては、中学の学習で重要な、4つの前線について学習をしてこう。
- 温暖前線
- 寒冷前線
- 停滞前線
- 閉塞前線
の順に解説をしていくよ。
温暖前線
温暖前線の前線面
始めは「温暖前線」について解説をしていくよ。
温暖前線はどのようにできるの?
難しく考える必要はないよ。
寒気と暖気がぶつかると、前線ができたよね。
このとき、暖気の勢力が強く、暖気が寒気をおして進むときに、温暖前線ができるんだよ。
下の図のような状態だね。
また、温暖前線は下のような記号を使って表すから、覚えておこう。
つまり温暖前線は、記号を使って表すと下のようになるね。
暖気が寒気を押すのが温暖前線!
そういうこと。では続いて、地表面から温暖前線を見てみよう。
地表面?
うん。これまでは空の上から温暖前線を見ていたよね。
ここからは、地表面。つまり僕達の目線で温暖前線を見てみよう。
下の図のような目線で、温暖前線を見るんだね。
うん。そういうこと。
温暖前線を地表から目線で見ると、下の図のようになるよ。
これが地表から見た温暖前線?
うん。暖気が寒気を右側に押しているね。これが温暖前線だよ。
前線面がななめで変な感じ…。
前線面がななめなのには理由があるんだ。それは「暖気は寒気よりも軽い」ということだよ。
ポイント
暖気は寒気よりも軽い。
つまり、軽い暖気が重たい寒気を押そうとすると、図のように、暖気が寒気の上にはい上がるように押していくことになるんだね。
重要
温暖前線は暖気が寒気の上にはい上がるように進む。
前線面がななめになっていたら、温暖前線と判断していいよ。
とても大切なポイントなので、必ず覚えておこう。
温暖前線の雲と雨
もう一度温暖前線の前線面を見てみよう。
暖気がななめ上に持ち上がっているね。このように空気が上昇すると、「乱層雲」という横長の雲ができるよ。
この乱層雲は横長の雲なため、広い範囲に長い時間、弱い雨を降らせるという特徴をもつよ。
必ず覚えておこうね。
温暖前線通過後の気温と風
温暖前線通過後は、気温が上がるよ。
それはなぜ?
下の図を見てみよう。前線通過前は寒気の中にいるけれど、前線通過後は暖気の中に入っているね。
つまり、温暖前線の通過後は、気温が上がるんだよ。
暖気の中に入るから、気温が上がるんだね!
そういうことだね。
そして、前線通過後は南よりの風(南からの風)になるので、これも必ず覚えておこう。
上空から、温暖前線をともなう低気圧を見てみよう。
前線通過後は暖気の中に入り、南よりの風向きに変わっていることがわかるよね。
このように風向きが変化することも、温暖前線の特徴だよ。
最後に温暖前線の特徴をまとめておくね。
たくさんあるからしっかりと覚えよう。
- 暖気が寒気を押す前線
- 乱層雲が発生する
- 広い範囲に弱い雨が長時間降る
- 前線通過後気温が上がる
- 前線通過後、南よりの風になる
がんばって覚えよう!
寒冷前線
続いては寒冷前線について学習をしていこう。
寒冷前線はどのようにできるの?
寒冷前線の前線面
寒冷前線も難しくないよ。
寒気と暖気がぶつかると、前線ができるよね。
このとき、寒気の勢力が強く、寒気が暖気をおして進むときに、寒冷前線ができるんだよ。
下の図のような状態だね。
また、寒冷前線は下のような記号を使って表すから、覚えておこう。
つまり寒冷前線は、記号を使って表すと下のようになるね。
重要
温暖前線や寒冷前線の記号の○や△は進む向きにくっつくよ。
上の図では下に進んでいるので、△が下向きなんだね。
寒気が暖気を押すのが寒冷前線!
その通り。では続いて、地表面から寒冷前線を見てみよう。
下の図のような目線で、寒冷前線を見るんだね。
うん。そういうこと。
寒冷前線を地表から目線で見ると、下の図のようになるよ。
これが寒冷前線?
うん。寒気が暖気を右側に押しているね。これが寒冷前線だよ。
前線面が丸くなっているね。
うん。前線面が丸くなっているのには理由があるよ。
それは寒気は暖気よりも重かったね。
つまり、重い寒気が軽い暖気を押そうとすると、下の図のように寒気が暖気の下にもぐり込むように押していくことになるんだね。
重要
寒冷前線は寒気が暖気にもぐり込むように進む。
動画でも見ることができるよ!
前線面が丸くなっていたら寒冷前線と判断していいよ。
とても大切なポイントなので、必ず覚えておこう。
寒冷前線の雲と雨
もう一度、寒冷前線の前線面を見てみよう。
暖気が上へ大きく持ち上がっているね。このように空気が上昇すると、「積乱雲」という縦長の雲ができるよ。
この積乱雲は縦長の雲なため、狭い範囲に短い時間、強い雨を降らせるという特徴をもつよ。
必ず覚えておこうね。
温暖前線とは真逆の雨の降り方だね
寒冷前線通過後の気温と風
寒冷前線通過後は、気温が下がるよ。
それはなぜ?
下の図を見てみよう。前線通過前は暖気の中にいるけれど、前線通過後は寒気の中に入っているね。
つまり、寒冷前線の通過後は、気温が下がるんだよ。
寒気の中に入るから、気温が下がるんだね!
そういうこと。
そして、前線通過後は北よりの風(北からの風)になるので、これも必ず覚えておこう。
上空前線をともなう低気圧を見てみよう。
前線通過後は寒気の中に入り、北よりの風向きに変わっていることがわかるよね。
温暖前線と同じように、風向きも変化するんだね。
最後に寒冷前線の特徴をまとめておくね。
たくさんあるからしっかりと覚えよう。
- 寒気が暖気を押す前線
- 積乱雲が発生する
- 狭い範囲に強い雨が短時間降る
- 前線通過後気温が下がる
- 前線通過後、北よりの風になる
頑張って覚えよう!
停滞前線
3つ目は停滞前線だよ。
停滞前線は、寒気と暖気の勢力がほぼ同じで、寒気側にも暖気側にもなかなか動かない前線のことを言うんだ。
停滞前線の記号はこのようなものだよ。
暖気が押す向きに赤丸。寒気が押す向きに青三角をしっかりとつけるようにしよう。
停滞前線はほぼ動かないため、同じ場所に長時間雨が降るという特徴があるよ。
また、日本では6月と9月に大きな停滞前線ができやすいんだ。
- 6月の停滞前線 → 梅雨前線
- 9月の停滞前線 → 秋雨前線
と呼ぶから、この名称も覚えておくといいよ。
了解しました!
ちなみに
停滞前線で雲ができやすいのは下の図の位置だよ。
閉塞前線
最後は閉塞前線だね。
閉塞前線は、次のような記号で表すよ。
閉塞前線はどんな前線なの?
閉塞前線は、ちょっと特殊な前線なんだ。
閉塞前線とは、寒冷前線が温暖前線に追いついてできた前線なんだよ。
寒冷前線が温暖前線に追いつく?
そうなんだ。日本付近での、前線のでき方を解説するね。
まずは下の図のように、寒気と暖気が押し合うよ。
はじめは寒気と暖気の勢力が同じくらいで、停滞前線になっているね。
また、地球が回転している影響で、寒気と暖気の風がななめに傾くことにも注目してね!
寒気と暖気がななめに押し合っているので、停滞前線が寒冷前線、温暖前線の2つにわかれていくよ。
このとき、風がうずをまくようになり、低気圧が発生するんだ。
低気圧の左側には寒冷前線。右側には温暖前線ができるよ。
このあとはどうなるの?
このあとは、寒冷前線が温暖前線に追いつくように進むんだ。
寒冷前線のほうが進むスピードが速いからね。
ポイント
寒冷前線は温暖前線より速い
なぜなら「寒気は重く、暖気は軽い」からだよ。
暖気が寒気を押すよりも、寒気が暖気を推す方が簡単なんだね!
そして最終的には、寒冷前線が温暖前線に追いつくんだ。
そうすると、閉塞前線ができるんだよ。
閉塞前線があると、強い雨が降ることがあるよ。
だけど、閉塞前線ができたあとは、地表が寒気におおわれていき、低気圧は消滅すること多いんだよ。
まとめ
これで4つの前線についての解説を終わるよ。
温暖前線の特徴
- 暖気が寒気を押す前線
- 乱層雲が発生する
- 広い範囲に弱い雨が長時間降る
- 前線通過後気温が上がる
- 前線通過後、南よりの風になる
寒冷前線の特徴
- 寒気が暖気を押す前線
- 積乱雲が発生する
- 狭い範囲に強い雨が短時間降る
- 前線通過後気温が下がる
- 前線通過後、北よりの風になる
停滞前線の特徴
- 寒気と暖気の勢力が等しくあまり動かない
- 長時間雨が降り続く
- 6月に発達する停滞前線を梅雨前線という
- 9月に発達する停滞前線を秋雨前線という
閉塞前線の特徴
- 寒冷前線が温暖前線に追いつくとできる
- 強い雨が降ることがある
- その後低気圧は消滅することが多い
何度も確認するようにしよう!
では、またいつでも遊びにきてね!
またねー!
コメント
コメント一覧 (6件)
苦手な範囲でしたが、とてもわかりやすくてできるようになりました!
ありがとうございました。
お役に立ててよかったです!
いつでもご利用くださいね!
応援しています!
いつもわかりやすくてとても助かっています!
そこで質問なのですが、停滞前線の図で温暖前線の丸いマークの方に雨ができやすいと書いてありますがそれはなぜですか?教えて頂けると嬉しいです!
コメントありがとうございます!
「停滞前線」の章に図で追加をしておきました。
ご確認ください!
塾や学校で何回先生に聞いてもいまいち分からなかったんですが、さわにいさんのおかげで理屈までちゃんと理解できました。本当にありがとうございます!!
お役に立ててよかったです!
これからも応援しています!