教員という仕事が多忙化の一途をたどる中「夏休みに退職したい」と考える先生方が激増しています。
この記事では
- 夏休みに教員を退職したい
- 夏休みの退職は大丈夫?
- 夏休み退職のメリット・デメリットは?
という方向けに、元教員が解説をしていきます。
教員は素晴らしい仕事ですし、私は今での現役の先生方を尊敬しています。
しかし、現在の労働環境では「辞めたい」と考える人がいるのも無理はないかもしれません。
先に結論
教員は夏休みに転職しても問題ありません。
となります。
それでは解説を始めます。
【結論】教員が夏休みに退職しても問題ない理由
まずは教員が夏休みに退職しても問題ない理由を紹介します。
その理由は「夏休み(年度途中)の退職は、法律上問題ない」からです。
例えば
東京都教育委員会職員服務規程の規約では、職員は10日前までに退職願を提出すれば辞められることになっています。
(退職)
東京都教育委員会職員服務規程
第十四条 職員は退職しようとするときは、特別の事由がある場合を除き、退職しようとする日の前10日までに、退職願を提出しなければならない
また、東京都立学校職員服務規程では30日以内となっています。
第十五条 職員は、退職しようとするときは、特別の事由がある場合を除き、退職しようとする日前三十日までに、退職願を上司に提出しなければならない。
東京都立学校職員服務規程
自治体ごとに異なりますが、おおむね30日前までの報告が一般的です。
(早いに越したことはないので、なるべく早めに伝えましょう。)
いずれにせよ、教員が夏休みに退職することは法的に全く問題がない行為になります。
ちなみに
東京都においては「退職届」のことを「退職願」と表現します。(電話確認済み)
この辺りの正式な用語は自治体ごとに異なるようです。
夏休みに退職をする場合の基本的な手順
前提
個人的には、精神的・体力的に問題ない方は年度末まで続けることもおすすめです。
年度末であれば、学校や子どもに迷惑をかけることは少ないためです。
しかしもちろん、体調面やその他の事情で年度末まで待てない方もいるでしょう。
そのような方へ向け、夏休みに教師を辞めるための手順を紹介します。
具体的な手順は以下の通り。
- 管理職に退職の意向を伝える
- 退職届を提出する
- 引き継ぎを行う
となります。
管理職に退職の意向を伝える
まずは管理職に退職の意向を伝えましょう。(校長がベストですが、話しやすい管理職でもよいでしょう)
時期に関しては、6〜7月上旬がよいでしょう。
この際、理由次第ではありますが、退職を思いとどまるよう諭されることが通常です。
それが管理職の本音であっても建前であっても、教師を続けることを勧められやすいので「教師を辞める」と固く決心をしておく必要があります。
このあたりの話の進み具合は、辞める理由と管理職のタイプによって千差万別です。
非常に大きなエネルギーを必要としますので、覚悟が必要になります。
もしもさまざまな面で疲弊しており「一切学校と関わらずに辞めたい」という方は退職代行を利用するのも1つです。
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管理職に退職の意向を伝える際は、基本的には口頭で伝えるのがよいですが、退職願を提出しても良いでしょう。
一般的な退職願と退職届の違い
退職願は必須(正式)な書類ではありません。
管理職に「退職をしたい」という希望を伝えるための書類です。
退職届は正式な書類であり、教育委員会から書き方の指定があります。
(これも自治体によって異なる場合があります)
口頭でも良いのですが、退職願を書く場合は、以下の図を参考にしてください。
退職の理由は「一身上の都合により」と書きましょう。
ですが、退職願を提出した場合も校長との面談は必須になるので、関係が悪く無いようであればあらかじめ口頭で伝えた方が早いです。
退職届を提出する
管理職との面談が済んだら、退職届を提出します。
(一般に)退職届は退職願と異なり正式な書類となります。
教育委員会から書き方の指定がありますので、指定通りに書き、提出をしましょう。
引き継ぎを行う
最後の業務は引き継ぎになります。
後の先生方が困ることが無いよう、しっかりと引き継ぎをおこないましょう。
後任の先生に直接伝えられるとベストですが、それが無理な場合は書類だけでも整理しましょう。
しかし、体調面や環境面で引き継ぎどころでは無い場合もあるでしょう。
その際は、最低限の連絡のみにし、自身の体調を労わることも大切です。
特に体が限界で退職せざるを得ない先生方は、これまで精一杯働いてきたと思います。
ここでは人に助けてもらうのもよいのではないでしょうか。
ここまでのまとめ
これが教員が退職をするときの手順です。
はじめに管理職に伝えるハードルさえこえてしまえば、あとは機械的な手続きで進んでいきますので、心配しないでくださいね。
教師が夏休みの退職を検討する代表例
続いては、夏休みに退職を検討する場合の代表例を紹介します。
- 体調不良である
- 環境面に大きな変化があった
- 教員という仕事が全くあわない
となります。それぞれ解説をしていきます。
体調が悪い
まずは「体調が悪い」場合です。
私も精神疾患で教員の仕事を休職し、その後退職をしています。
教員の仕事が原因で体調不良を感じる方は、夏休み中の退職を検討することもあるでしょう。
特に
- 睡眠
- 食事
- 動悸
- 呼吸
などに違和感を感じる場合は赤信号です。 体を壊す前に仕事を辞めるというのは正しい判断になりえます。
(実際、判断を誤り体を完全に壊した私は後悔しています。)
しかし、退職以外にも休職という手もあることを覚えておきましょう。
教員には病気休暇という制度もあります。
この制度を利用し体を癒す。また、3月までもたすのも有力な選択肢になりえます。
病気休暇の基礎知識は以下の通り。(詳細は自治体ごとに異なります。)
- ケガや病気で勤務できない時に取ることができる。
- 教育委員会に申請する書類1枚と病院の診断書1枚必要になる。
- 基本は最大90日取れる。
- 給料は満額(100%)支給される。
さらに休みが必要な場合は病気休職という制度もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
教員の仕事が大変すぎて、休職を検討している…。学校現場では、精神疾患だけでも毎年5,000人以上が休職をしています。文部科学省「令和2年度公立学校教職員の人事行政状況調査について(概要)今この記事を[…]
それでもさまざまな事情によりやむを得ない場合は、夏休み中の退職を検討するとよいでしょう。
家庭の都合など環境面の変化
家庭の都合など環境面の変化においても、夏休み中の退職を検討するに値するでしょう。
自分自身の体調や環境面だけでなく
- 配偶者
- 親
- 子供
などにトラブルがあった場合に、退職の決断を迫られる場合もあります。
管理職に事情を説明し、退職の手続きをお願いしましょう。
夏休み中は変わりの先生を探す猶予も多少うまれますので、夏休みの退職はベターと言える選択肢でしょう。
教員という仕事が全くあわない
最後は「教員という仕事が全くあわない」という場合です。
これは初任者に非常に多いです。
教員という仕事が「ブラックとは聞いていたが、これほどとは思わなかった」と感じて辞めるケースです。
「1年間は続ける」という選択肢もありますが、それすらも時間のムダと考える方たちは、次々と辞めていくのかもしれません。
退職をする時期はよく考えよう
ここまで「夏休みに教員の退職は可能」ということをお伝えしました。
それ自体は間違いないのですが、可能であれば3月で退職をするのが理想です。
なぜなら
学校の運営は1年単位で行われるからです。
管理職としては「年度末まで続けてほしい」というのが本音でしょう。
特に退職後も勤務地近くの地域に住まなければならない場合などは、気まずい思いをする場面なども出てくるかもしれません。
環境や体調などに問題がない場合は、3月まで続けるのもアリでしょう。
環境面や体調面に問題がある場合は夏休みに退職をすべき
ですが、体調面などに不安がある場合は、3月まで続けるよりも、あなたの体調を優先すべきでしょう。
家族の都合も同様です。
人生にとって大きな決断となりますが、退職をする時期はよく考えて決めるようにしましょう。
教師が夏休みに退職をするメリット・デメリット
最後に、教師が夏休みに退職をするメリット・デメリットを紹介します。
メリット
まずはメリットの紹介です。主なメリットは次の3つ。
- 学校や子供への負担が最小限
- 夏休み中に転職活動ができる
- 7〜8月は求人数が多い
それぞれ解説をしていきます。
学校や子供への負担が最小限
最大のメリットは、学校や子供への負担が最小限になることでしょう。
年度途中での退職のため、負担が0とは言いませんが、年度末の退職以外では最も負担が少ない時期になります。
管理職も新しい先生を探す猶予が与えられます。
夏休み中に転職活動ができる
こちらも大きなメリットになります。
公務員である教員には失業手当がありません。
そのため、転職までに必要なお金はこれまでの貯金や退職金などで賄うことが一般的なのですが、夏休み中に転職活動を行うことができれば、収入が無い期間を最小限にすることができます。
もちろん転職活動に本腰を入れることも可能になります。
7~8月は求人が増える期間
転職活動をする上でのメリットがもう一つ。それは「7~8月は求人数が多い」ということです。
下半期に向けての新たに人材を募集したい企業が増えるためです。
また、2024年現在はコロナ終息の期待感からも求人数が激増しています。
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これらが、教員が夏休みに退職をするメリットになります。
デメリット
続いてはデメリットの紹介です。
主なデメリットは次の2点
- 学校側から引き止められる可能性が高い
- 求人数が4月よりは少なくなる
となります。それぞれ解説していきます。
学校側から引き止められる可能性が高い
一つ目のデメリットは「学校側から引き止められる可能性が高い」ということです。
確かにそうですね。しかし管理職としては年度末まで働いてくれるにこしたことはないはずです。
場合によっては強めの反対をされることもあるでしょう。
ここを押し切らなければならないところが、夏休み退職のハードルとなる可能性があります。
一方、年度末退職は事前に伝えておけば(軽く引き止められるものの)退職を反対されることはありません。
事実、学校側には迷惑をかけてしまうので、その点は理解しておきましょう。(何度も言いますが、体調不良などの場合は仕方ありません。)
求人数が4月よりは少なくなる
夏休みの退職は、転職活動を7月〜9月に行うことになります。
この時期の求人数は少なくはありませんが、最盛期の4月よりは少なくなってしまいます。
この点は理解をしておきましょう。
まとめ
これで、教員が夏休みに退職をしても大丈夫なのか?
そのメリット・デメリットの解説を終わります。
退職には非常に大きなエネルギーが必要だと思います。
しかし、私がこのサイトで行ったアンケートでも、教員からの転職を行い、後悔をする人は非常に少ないです。
退職を通し、先生方の1年後が、光り輝くものになることを心よりお祈りいたします。
転職を検討する際は、教員からの転職に強いdoda をぜひ利用してみてください。
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